ブハラ(ウズベキスタン)

Bukhara ブハラ

 ブハラはウズベキスタンを代表する観光地の一つ。実をいうとウズベキスタンは今回で3回目、最初に訪れたのは20年近くも前のことだ。その頃の記憶も微妙だけど、お洒落なホテルなどや土産物屋などはほとんどなかったような気がする。当時はホテルも旧ソ連時代の古いものばかりでお湯が出ない、部屋の鍵が簡単に開かないなどのトラブルは当たり前の環境だった。ソ連から独立し、多くの外国人がやってくるようになって、観光地としての自覚という新しい時代の波に乗ってきたということなのかもしれない。

ブハラの代表的な歴史的建造物についてはガイドブックやネットに載っているので、そちらを参考にしていただくとして、ややマイナーな所を下記のようにちょっと紹介してみようかと思う。

Sitora Mokhi-Hossa

 ウズベキスタンを観光して歴史建造物を見て回ると、青タイルのモスクやメドレセがほとんどなので、ちょっとどれも同じように見えてきて(そうでない人もいると思うが)たまには別のタイプが見たくなってくる。そういう人にはこのSitora_Mokhi-Hossaがおススメ。

ここは宮殿で「月と星の宮殿」というロマンチックな名だ。色合いは青ばかりではない。門のタイルには青以外に薄い緑や赤も使われ、コーランの一節も無くどことなく宗教色がやや薄くむしろ世俗的な華やかさを感じさせるデザインだ。中に入るとまず驚くのは放し飼いにされた孔雀達。いったいどれほどいるのかわからないが数十羽ほどが悠々と闊歩している。ひょっとしたら昔のハン(王)の愛した孔雀達の末裔なのかもしれない。建物は薄い緑色がベースとなっていて、重苦しさがなく洒落た宮殿という感じだ。内部には西洋から運ばれた家具などもそろっており当時の広い交易を思わせる。

ユダヤ人街

ブハラにはなんとユダヤ人街がある。小さいがシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)があり、その周りにユダヤ人が住んでいる。その数はわずか50世帯ほどという。シナゴーグ内を見学させていただいた。壁には様々なユダヤ教関係の修飾があり、ユダヤ教を知らない自分からすると不思議な飾りでデザインされた独特の洒落た部屋という印象だ。中ではラビ(ユダヤ教の指導者)が一人普段着で読書をしていた。宗教関係の本かと思っていたら、ロシア語の小説という。どうしてウズベク語の本でないかと聞くと、どうやらここのユダヤ人街に住む人達はあまりウズベク語ができないらしい。普通多民族国家では、例えば中国であれば中国語(北京語)を、イランであればペルシャ語を学校教育で行うのではないだろうかと思うが、このウズベキスタンの学校教育ではウズベク語は必須ではないらしい。一応調べるとウズベキスタンでは公用語は一応ウズベク語になっている。つまり意外なことに多民族国家でもあるウズベキスタンでは国を代表する民族であるウズベクの言葉は公用語ではあるが現実には重要視されてなくロシア語の方が広く教育されみんな話せるらしい。これは旧ソ連時代の影響も大きいのだろう。ウズベク語は圧倒的多数派のウズベク系のみで異なる民族同士ではロシア語で会話しているという。

また帰国してから調べてみるとブハラ・ハン国が存在していた時代に大きなユダヤ教コミュニティが存在していてソ連崩壊以降は他国に多数が移住していったという。彼らはブハラ・ユダヤ人と呼ばれ、ブハラ語という言語を作り上げた。彼らの歴史は非常に興味深く、バビロンの捕囚後にカナンに戻らなかった支族とされているらしい。驚くべきは他のユダヤ人コミュニティとは2000年以上に渡り隔絶されていたという。長き間彼らはなんとか伝統を守り、周りの文化に染まることなく独自の文化をはぐくんだという。

祈りの部屋を出て、今度はもう一つの部屋をのぞいてみた。こちらは学びの部屋のようだ。それぞれの席の上には聖典のタナハであろうか分厚い本がおかれている。手垢にまみれた感じからして相当使いこまれているようだ。きっと礼拝日には村人たちが本を見開き、ラビの説法とともにみんなで読書するのではないだろうか。この部屋にも壁には宗教的な飾りが多く施されている。

私は今までにインドなどでシナゴーグをのぞいたことはあったが、壁に色々とここまで宗教的な装飾があった記憶がない。ひょっとしてこれは彼ら独自のアイデンティティの証なのかもしれない。周り朱に染まらないようにするには自らが独自色に染まり切ってしまうしかない、そんなことを思わせるシナゴーグであった。

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Asahiko Takahashi
  • Asahiko Takahashi
  • Photographer & Doctor 日経ナショナルジオグラフィック写真賞2019ピープル部門 最優秀賞受賞。少数民族やその祭りなどに興味を撮影を行っている。主なフィールドはシーク教、遊牧民、北ベトナム、雲南省、貴州省、チベットエリアなど。

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