イラン2019(イラン)

先月はバフティヤーリー族を紹介した。撮影後はザグロス山脈を抜けてエスファハーンに向かう。一応予定にはなかったのだが早くエスファハーンに着すぎてしまい時間に余裕ができたので市内観光してみることなった。イランといえば何といっても豪華絢爛なイスラム建築が思い浮かぶ。世界の半分と呼ばれたエスファハーン観光も悪くはないだろう。しかしガイドブックではないので写真をアップした部分のみ説明を加えることにした。

Sheikh Lotfollah Mosque

黄色ベースのタイルのドームが美しい。黄色がメインのためなんとなく金を使ったように見えなくもない豪華な感じだ。ドームの幾何学的な模様に壁にはアラビア文字のおそらくコーランの一節と思われるものが並ぶ。無機的な幾何学的対称性の塊であるドームと有機的な非対称であるアラビア文字の両者を対比的に撮ってみた。

Shah Mosque

日本のガイドブックだとなぜかイマームモスクと呼ばれているモスク。中に入り一角を除くと一人の男性がコーランを歌い上げていた。まるで生アザーンのような感じだ。モスクのなかはもちろんタイル張りなのでエコーとなり美しい歌声がさらに響く。実際には何かの撮影のようだったのだが実に美しい様であった。

Kashan               カーシャーン

ザグロス山脈の僻地から一気にイスファハーンという観光地へ移動し、一泊した後はテヘラン空港へ向かう。途中で時間が取れそうなので、今回もまた予定にはなかったカーシャーンという町に寄ることにした。この美しい小都市は10年ほど前の昔来た時はほとんど観光客がいなかったが今回来た時には観光客だらけでちょっと驚いた。時代の移り変わりというのは恐ろしい。その中で特徴的だったものを少し紹介。

Sultan Amir Ahmad Historical Bath

もし時間に余裕がなくどこか一か所にしか行けないのであれば、個人的にはここをお勧めする。ここは昔のハマム。内部の浴場はさることながら屋上の明り取りが独特だ。浴場には多くのドーム状の屋根があり、それぞれが自然光を取り入れる形になっている。イスラム圏でみられるハマムでは光を多く取り入れるために表面積を多くとり、つまり凸状にして多くのガラスで自然光を少しでも多く取り入れ、内部はタイルのため反射して明るくなるようだ。このようなハマムはイスラム圏では多くあるけど、ここのは屋上に明り取りが無数に壮観に並び結構絵的にも美しい。まるで小さいオームがいっぱい並んでいるようでも見えるし、どこか不思議な惑星にでも迷い込んだ気分になれる不思議な空間だ。

Borujerdi House

イスラム建築でドームというのは宗教上象徴的な美しさを感じるものだ。しかしここでのドームは他のドームと違ってかなり立体感を持った独特のものである。メドレセやモスクのドームとやや違うのはドームの中心部が先ほどのハマム同様におそらく明かりを取り入れるようになっているようだ。さらにドームの中心から少し離れたところにも複数明かりを取り入れるようにもなっている。そうすることによって暗い印象の巨大ドームの頂点とは違い、逆にドームの中心を明るく照らすような雰囲気を持っている。明るくなったことで立体感がより分かりやすく、白をベースにしたことでさらに反射が得られ天井が明るく巨大ドームのような重厚な重苦しさは感じられず、どことなく天井が明るい華やかな感じのドームとなっている。もっともここは宗教施設ではなく豪商宅なので華美な感じの構造を目的としているのだろう。こうやってみると幾何学的にタイルを張り付けるようなモスク以外にもこのような立体的美しさもあるということにドーム美の新しい多様性を感じさせる。

イスラムにおいて偶像崇拝は禁止されている。そのために植物模様や幾何学的な美しさ、対称性の美に対する方へエネルギーが向かっていった。建築家達は常に新しいドームなどを考えていたのだろう。こういったものは古典的な建築を踏襲していく宗教上建築物より、やはりこのような商人宅の方が斬新なデザインを取り入れていく傾向があるような気がする。歴史的な聖地巡りもいいが、こういった新しい独特なイスラム建築巡りというのも時には面白いのかもしれない。

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Asahiko Takahashi
  • Asahiko Takahashi
  • Photographer & Doctor 日経ナショナルジオグラフィック写真賞2017ピープル部門 優秀賞受賞。少数民族やその祭りなどに興味を撮影を行っている。主なフィールドはシーク教、遊牧民、北ベトナム、雲南省、貴州省、チベットエリアなど。

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