マンダレー(ミャンマー)

マンダレーはミャンマーの第二の都市である。しかし第二の都市といっても、もちろんミャンマーというまだ発展途上の国であるので市内の中心部を除けばまだまだ驚くほどのどかな光景に出会える。市内の様々な工場をのぞかせていただいた。時にはえっ?というほどの手作業のものもあったので色々紹介してみたいと思う。

ミャンマー版、雷おこし工場。  見た目も食感もほとんど雷おこし。味付けはちょっと覚えていなかったけど、ミャンマーでよくあるタマリンド風味だったのかもしれないが、 とにかく雷おこしといっても全く違和感のないお菓子だ。ポン菓子のような「おこし種」に甘いソースを絡めていく。それを型に流し込み重そうな木のローラーで圧縮成型していくのだ。圧縮して固めた後は1パックサイズになるようにナイフで切って袋詰めされていく。この工程全てが手作業でしかも素手で行われる。工房の中は火をつかっているのでもちろん蒸し暑い。おじさんは暑いからであろうかタンクトップで作業を行う。もちろんおじさんの汗も時々おこしの中に練りこまれていくであろうが、そこはミャンマーであるから気にしないことだ。 他の菓子工場でもきれいに機械的にパッケージされているようにみえるものでも手作業で袋詰めが行われていた。気になる方はこういうこともある点を頭の中に入れておいた方がいいだろう。

最近はガイドブックなどで有名になりつつあるマンダレーの大理石仏像工房密集エリア。そこでは女性も男性に交じって汗を流していた。 ミャンマーに行ったことがある人はこのことにあれ?っと思った人はいないだろうか?そう、ミャンマーでは女性は仏像に触れることは禁止されているのである!大理石の粉にまみれながら働くこのエリアの女性達は禁を解かれた特殊な存在なのかもしれないが、制作過程においては特に制限なくタブー視されていないようだ。

蝋燭工房も興味深い。扱うのが蝋だからであろうか、工場巡り中で最も不快指数が高い環境で蒸し蒸しジメジメと室温、湿度ともに高い室内だった。地下を思わせるような密閉間のある部屋で、化学工場のようなラインなど並んでいる。その中でもくもくと上半身裸で作業を行う青年はやや長めの髪をヘアバンドでまとめていて、ミャンマーらしくないアウトロー的な雰囲気でもあった。そんな彼が作る白い物体は、棒状でなくて粉状の方だとヤバイ感が出たかもしれないが、彼はミャンマーでは数少なくなった貴重な蝋燭職人なのである。

袋印刷工場。ここはおそらく農作物、米や豆とかを入れる袋に印刷を施しているようだ。印刷乾燥が終了したようで、 洗濯物を取り込むがごとく 洗濯バサミから外してまとめている。この雰囲気からすると印刷も活版印刷で行われているんじゃないかなと思う。

建物として一つだけ紹介してみたい。ミャンマーの多くの観光で行く寺院は立派なパゴダであり、かなり大雑把な観点からいうと何となく似ている。中心に立派なパゴダが建っており、その周りを巡礼できるようになっている。しかしこのシュエナンドー僧院だけはかなり異色の寺院だ。チーク材で作られたこの小さな寺院は金箔とかで彩られているわけではない。なんといっても目の前にして驚くのは建物すべてが彫刻されているのだ。彫られていない部分はほとんどないほど、ありとあらゆる部分が唐草模様や天女などの仏教関連に彫られている。まるで、空白の部分を作ることを恐れているかのように。この狂信的なほどに彫刻に費やされている時間や工員、人件費などは知る由もないが、設計者のこの建物に対する凄みを感じるはずだ。それはまるで、美しいものを作ろうというより、どこか強迫観念でもあるかのような恐ろしいまでの彫刻愛なのである。

様々なものがまだまだ手作業で行われているミャンマー。時代に取り残された…という表現はある意味我々の上から目線の意見であるのだが、現地で感じたのは今はまだこれで十分なんだよという雰囲気であった。もちろん10年後にはマンダレーのような都市は激変していると思うのだけど、農村では意外と大きく変わってないのかもしれない。

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Asahiko Takahashi
  • Asahiko Takahashi
  • Photographer & Doctor 日経ナショナルジオグラフィック写真賞2017ピープル部門 優秀賞受賞。少数民族やその祭りなどに興味を撮影を行っている。主なフィールドはシーク教、遊牧民、北ベトナム、雲南省、貴州省、チベットエリアなど。

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